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みそしるの村メモ

自称「村長」が、更新頻度のお知らせしたり言い訳したりあとがき書いたりするよ

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一縷の

こっそり「一縷の光」番外置いておきます。妄想は爆発だ。
「一縷~」知ってる人も知らない人もゴメンね。こっそり主義さ!(何を言っているのか

内容としては、メインの二人がいちゃいちゃしてるだけの
少女マンガ的アレとでも言っておけばいいのか、
よくあるヤンデレです。ハルタ×ヤヨイ(略してハルヤヨw)

ハル→→→←ヤヨです。によによ。自分のキャラだけどw

登場人物

桶越陽太(おけごし はるた) あだ名「ハレタ」
本嶋弥生(もとじま やよい) あだ名 特になし

他人です。兄弟関係じゃないです。ハレタがヤンヤンしてる発想の持ち主なだけ。

__________________

昨晩から降り続く雨は、一向にやむ気配を見せない。
重苦しく垂れこめた雲に押しつぶされて死ぬんじゃないか、なんて考えるのが自然になっているのは、僕だけかもしれない。

かつて母が入院していた市立病院を横目に見ながら、やっぱりこんな日は引きこもってパソコンでもしていたいという思いに、足は自然と重くなる。

あれから半年以上がすぎて、僕たちは受験生になっていた。
高校受験――僕たちだけが年を重ねるんだと、茫然と校門前の桜を見上げたのを覚えている。

今は桜の木も緑をたたえ、雨雲の向こうに次の季節を感じさせる。
ふとパシャパシャと近づく足音に気が付き振り向くのと、彼女が横に並んだのは同時だった。

「ハレ……桶越(おけごし)くん、おはよう」

「……おはよ」

短く返せば、彼女――弥生さんはほほ笑みながらもちょっと苦々しそうに前を向いた。

「梅雨、早く明けないかな。湿気が重いー」

軽い。彼女の言葉はいつだって。
そしてそれを後から自分で悔いているのも知っている。
それでも彼女は軽く言葉を使うのをやめない。

弥生さんはたぶん、僕がその軽さに救われてもいるんだってことに気が付いていないのだろう。
「そうだね」

だからどうしても少し陰りがちになる僕の顔を見て、いつも君はしまったと口の端をゆがませる。

そんな顔をしてほしいわけじゃないのに、気の利いたフォローもできない。

「弥生さん、この間理科でわからないところあるって言ってなかった?」
「あ、そうそう」

僕の不自然な話題転換でも、さっきのことなど無かったかのように表情を改めてくれる弥生さんを見てると、小さい子相手に言葉遊びをしている気分になった。

「電流のところなんだけど、今いち計算がわからなくて。明日当たりそうだから、放課後に教えてもらっていい?」
「いいよ。委員会があるから、ちょっと遅れるけど……教室で待っててくれる?」
「わかった」

そうやって嬉しそうにしてくれるだけで、僕はなんだか報われた気になるんだ。


付き合ってるのか、と普段はしゃべらないような男子に聞かれたことがある。

クラスも別で今まで接点のなかった二人が、ある日突然親しげに会話し始めたら誰だって疑うだろう。

付き合おうとか、そういう話にはなったことがない。
今の僕らの関係をあえて言葉にするとしたら、「家族以上きょうだい未満」といったところか。

と正直に申告したら、「それって家族じゃん」みたいな突っ込みを受けた気がする。
だって仕方がないだろう、命のやりとりまでした仲を、ほかに説明しようがないのだ。

夕方、思ったよりも長引いた委員会のあと、急いで弥生さんの教室に足を向ける。
欠席している間に面倒な委員を推しつけられていたというのはよくある話だが、
まさか自分が体育委員になるとは思ってもみなかった。

その上運動全般苦手で、意識の外に追い出していたため、
1か月後に迫る体育祭の打ち合わせのために長い時間拘束されるという予測さえ立たなかった。

去年の自分なら、細く頼りない体と委員会がミスマッチだったかもしれないが、
今年に入ってから全体的に肉付き始めた体なら、それほど違和感もない。

弥生さんのクラスの扉は開いており、中からぼそぼそと低い話し声と、煌々とした明かりが廊下へと漏れていた。

すぐに声をかけてよいものか迷って、そっと教室を覗くと、今日の学年課題を広げた弥生さんの前に、一人の男子生徒が座っていた。

忘れもしない、「それって家族じゃん」と突っ込んだ彼だ。
名前は覚えてないけど。

「本嶋さんて高校どこ受けるの?」
恥ずかしいのかわざと声を低くして顔を近づけた彼は、しかし期待を隠せない様子で弥生さんを伺っている。

「さあ……行けるところに行ければ、って感じだけど」
普通のトーンで返す彼女は、課題から目を上げない。

そんな態度にもめげずに、明るい表情を作ると彼は頭をかいた。
「割と成績いい方だよな、俺も頑張んないと第一志望ヤバくてさ」

「そうなの?」
そこで彼女が顔を上げる。
興味を持ってもらえたことにあからさまに喜色を浮かべた彼は、その勢いで会話を続けた。

その後の会話は耳に入ってこなかった。
弥生さんもちょっと笑みを浮かべて彼に同調しているのが視界に映っているものの、内緒話のような距離でなされる会話は断片的にしか聞こえてこない。

ただクラスメイトとおしゃべりしてるだけだ、と客観的になろうとする声と裏腹に、
彼女に対して原因不明の怒りがわいてくる。

「弥生さん」

気が付いた時には彼女の腕を取っていた。
「あ、」
と一瞬怯えたような目をした彼女から視線をそらすと、複雑そうな顔をした男子生徒と目が合う。

「今日はうちでご飯食べて行ってって」
母さんが、とは言わずとも弥生さんには通じたはずで、「わかった、けどいつもゴメン」と困惑気味に言った。

片付けるからちょっと待って、という彼女の腕を離し、さっきから刺さる彼の視線が不快で、弥生さんを待たずに教室の出入戸まで歩く。

「ちょ、ハレタくん――あっじゃあまた明日」
背後であわてたように僕に追い付こうとする彼女の気配を感じるけど、どうにも歩調を合わせる気分じゃなかった。

雨のせいで薄暗い廊下を、情けない気分になりながらずんずん進む。
後ろから一生懸命ついてくるスリッパの音が不意にやんでも、気が付かないくらいだった。

「待っ、おいて、いかないで」

それなのに弱弱しく吐き出された彼女の息遣いは聞き取ってしまう。

振り向くと、弥生さんは膝に手をついて、うつむいていた。

「ゴメン、私、また何か、無神経だったのかも」
肩で息をしながら顔を伏せたままの彼女は、もう一度ゴメン、と呟いた。

「謝ってほしいわけじゃない」
自分でも驚くぐらい冷えた声に、彼女もびくりと肩を震わせた。

いつまでたっても顔を上げない彼女に苛々して近づけば、さっき僕が掴んだところが紅く痕になっているのが見えて、少し冷静さが戻ってくる。

彼女が怯えるのも無理はない。痛かったのだろう。

「……委員会が長引いて、ごめん。腕は痛む?」

出来る限り声を和らげれば、ほっとしたように弥生さんは顔を上げた。
「大丈夫、でも怖かったよ」

泣きそうな顔で緊張を解いた彼女は、何かに気が付いたように僕の方へ手を伸ばした。

「えっ、弥生さん?」
僕の前髪を上げるようにして額に手を当てた彼女は、傷ついた顔をして、今度こそ涙を流したのだ。

「どうし、えっ、やっぱり痛かったんだね? 腕見せて?」
僕の額に手を当てたままうつむいて涙を流す彼女に、どうしたらいいのかわからなくなる。

とりあえず額にある彼女の手を掴んで下ろすと、弥生さんがぎゅっと握ってきて、お互い手をつないだ状態になった。
彼女の白い肌に残る僕の手の痕が、痛々しいだけではなくて、僕の心を落ち着ける。
そんな喜びを見つけてしまったと知ったら、君はこの手を離すのだろうか。

僕を感知し救い上げてくれた、この手を、僕は離せるだろうか。

声を殺しながら泣き続ける彼女の手を握り返すと、片手で彼女の頭を撫でた。
湿気のせいで、と今朝方ぼやいていた髪は、本人が言うほど硬くはない。


「わたし、ハレタくんに置いて行かれるの、トラウマ、になってるみたいで」
泣きながらも強がって苦笑をもらす、そんな風に弥生さんは制服の袖で目をこする。

「ひとりになったら、どうしようとか、すごい不安で」


ああ、そうか。
不安だったのだ、僕も。

苛々していたものの正体がわかれば、急に胃にストンと降りてきたような気がする。

ひとりにしないでほしい。
置いて行かないでほしい。

もし、傍らからいなくなってしまったら……?


「ゴメン、わたし、またうざったいこと言ったかも」
こすりすぎて腫れた瞼を開け、恐々とため息をつく弥生さんは、申し訳なさそうに苦笑した。

彼女も、同じだったのに。
こんな僕に疎まれてないか気にするほどに、彼女もまたひとりになるのが怖かったはずなのに。

それをわかっているのは、僕だけしかありえないというのに。
そう、僕だけしか、彼女の本当の孤独はわからないから。

寂しいとか、寂しくないとか、そういう次元の話ではなくて、
僕たちにとってこれは、生きていけるかいけないか、という問題なんだ。

「よーし、いつまでも泣いてないで、にいちゃんとおうち帰るぞ志織」
いつだって気持ちを真っ直ぐに言葉にしてしまう彼女とは反対に、逃げるように話題をぼかす僕。


ぐりぐりと強く頭を撫でると、からかわれたと判断したらしい弥生さんは、「志織」――僕の妹の名前に哀しげな瞳をしたあと、明るく笑んだ。

僕の態度ひとつで泣いてしまう君を見ると嬉しくなるんだ、なんてことは言えずに、お兄ちゃんだからと手を引いて並んで歩く。


時々弥生さんを不安にさせたがるかもしれない。
その時は僕が居ないと生きていられないんだと、僕に実感させて。
弥生さん、君は君のためだけに泣けばいいから。

「ねえ弥生さん」

「ん?」

僕を不安にさせたら、僕の気が済むまで、あなたを泣かそう。


END



___________________

お互い恋心はまだ無いです。家族とか親友とかに求める独占欲みたいなレベル。
だからヤンヤンとしてはまだ軽いほうですな。うむ。

他の人と話してるだけで、自分が世界から締め出されてしまったような絶望と、
そんな気持ちを抱かせたことに対する「わかってくれよ」的苛立ちと、
独りにされたらとかいう仮定をするだけで呼吸困難になってしまう焦り、

をお互い持ってます。ハレタの表現方法が黒いだけで、弥生も。

弥生視点からすると、
「最近彼がしっかりした体格になってきた」→「私は進歩しないのにハレタくんだけ成長してく疎外感」、
「いつも軽く物事を言っちゃう」→「マジ進歩できない自分イライラ」、
「突き放すように冷たい言葉をかけられる」→「絶望」
「あきらめられたような、言っても仕方ないよね的視線」→「置いて行かれる」

てな感じです。弥生は強い子。強いけど、それがゆえに、進歩できない自分が腹立たしくて、メンタルが一気に弱くなる子。

この子たち、結構好きなので妄想がやまない。主に少女マンガ的思考方向で。
はぁ、明日5時起きなのに何やってんでしょう。寝ます。

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蒼菜
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女性
誕生日:
1991/07/14
自己紹介:
みそしる村の村長であるぞ。

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